「寝つきが悪くて、夜中に何度も目が覚めます」——食卓アドバイザーはやまに相談してみたら

発酵食品

——寝つきが悪くて、夜中に何度も目が覚めます。だから朝もつらくて。もう長いあいだ、ぐっすり眠れた記憶がありません。

今回の相談主は、30代のKさん。眠れない夜というのは、やたらと長いものですね。

目を閉じても、頭だけが冴えている。ようやく眠れたと思ったら、深夜に目が覚める。また眠ろうとするけれど、今度はなかなか寝つけない。朝になってもすっきりしない。

「体質だから」「年齢のせいだから」とあきらめていね方も多いと思います。

実は、眠れない夜の原因の一部は、食卓に隠れていることがあります。しかも、薬膳・自然療法・マクロビオティック——。東洋の知恵も西洋の自然療法も、驚くほど同じ方向を指しています。

はやま

こういうとき、わたしはいつも思います。文化も時代もちがうのに、みなが口をそろえて同じことをいう。それ、たぶん真実だからじゃないかなと。

薬膳の視点——「血」が足りないと、眠れない

薬膳では、眠れない原因を体質から読み解きます。

エネルギーが不足した「気虚(ききょ)」、血液の量や質が不足した「血虚(けっきょ)」、体の潤いが不足して熱がこもる「陰虚(いんきょ)」——こうした体質が、不眠に関係していると考えられています。

とくに、夢が多くて眠りが浅い場合は「血」が不足しているサインかもしれないといわれています。

牡蠣(かき)

「海のミルク」と呼ばれる牡蠣は、薬膳では精神的なストレスによる不安感や憂鬱な気分をやわらげ、精神を安定させる作用があるとされています。亜鉛や鉄など、血をつくるミネラルも豊富です。旬の冬にぜひ食卓に加えてみてください。

ジャスミン茶

気の巡りをよくして、気持ちをリフレッシュさせる効果があるといわれています。就寝前の一杯に、ノンカフェインのジャスミン茶はおすすめです。香りそのものにも、気持ちをほぐす作用があるとされています。

寝る前の、温かいミルク

古くから「寝る前のミルク」は眠りをよくするといわれてきました。薬膳的でも、温かいミルクは精神を安定させ、体を内側から温めるとされています。冷たいものより、ひと手間かけて温めることがポイント。

自然療法の視点——神経の高ぶりを、食卓で鎮める

自然療法では、不眠の原因を「神経の高ぶり」や「内臓の疲れ」から読み解きます。現代の忙しいお母さんたちには、とくに注目したい視点かもしれません。

夕食は、寝る2〜3時間前までに

就寝直前に食べると、胃腸が消化のために動き続け、脳が休まらないといわれています。「夜遅くなるとつい食べてしまう」という方は、まずここから見直してみてください。量を少なめにするだけでも、眠りの質が変わることがあります。

梅肉エキス

黒豆大ほどの梅肉エキスを、熱いお湯に溶かして飲みます。神経をリラックスさせる効果があるといわれ、自然療法では昔から不眠のケアに用いられてきました。本物の梅干しと同様、添加物の少ないものを選ぶことをおすすめします。

タンポポコーヒー

タンポポの根を炒ってつくったお茶で、コーヒーに似た香りと苦みがあります。カフェインを含まないため、夜に飲んでも神経を刺激しません。不眠に悩む方によいといわれる飲み物のひとつ。

しかばねのポーズ(ヨガ)

仰向けに寝て全身の力を抜くこのポーズは、わずか10分程度で深い休息が得られるとされています。寝る前に行うと、深い眠りに入りやすくなるといわれています。やり方はこちらの記事を参考にしてみてください。

はやま

タンポポコーヒー、飲んだことがあります。コーヒー党として断言します。残念ながら、コーヒーの代わりにはならない。別の飲み物として楽しむぶんには問題ありません。どうして「コーヒー」と名づけたのか、そのネーミングセンスにだけ疑義を呈したい(笑)

マクロビオティックの視点——血液の質を整えると、眠りが変わる

マクロビオティック(穀物菜食)では、睡眠のトラブルは血液の質の乱れや自律神経の不均衡が、おもな原因と考えられています。とくに「頭が冴えてしまって眠れない」タイプの不眠に、独自のアプローチがあります。

しいたけスープ

疲れすぎや動物性食品の摂りすぎで頭に血がのぼり、目が冴えて眠れないとき——。ぜひ試してほしいのが、しいたけスープです。頭部に溜まった余分なエネルギーをクールダウンさせ、リラックスを促すといわれています。

🍄しいたけスープの作り方

材料(1〜2回分)
干ししいたけ:中4〜5枚
水:3カップ
しょうゆ:適量

作り方
鍋にしいたけと水を入れ、中火で20〜30分煮出す。スープの量が当初の3分の2から半分程度まで煮詰まったら、しいたけを取り出す。おいしいと感じる程度のしょうゆ味をつけて完成。一回に200ccを目安に飲む。

夕食に、鎮静作用のある食材を

ねぎ、たまねぎ、黒ごま、くるみなどには神経を落ち着かせる働きがあるといわれています。特別なことを必要ありません。いつもの夕食に、これらをひとつ加えてみるだけ。

玄米とごま塩を、毎食の基本に

マクロビオティックの基本は「玄米とごま塩」。未精白の穀物は脳へのエネルギー供給を安定させ、精神をどっしりと落ち着かせるといわれています。玄米が気になっている方はこちらの記事も参考にしてみてください。

ごま塩は毎食ひとふり。黒ごまのミネラルが、細胞を静かに整えます。

はやま

しいたけスープ、地味ですが、これが存外に効く気がします。わたしも一時期、毎日飲んでいました。頭だけ冴えて体が眠い、そんなときに飲むと、すっと落ち着く感じがある。いらいらしているときに飲むと、すっと鎮まる。煮詰めるほど濃くなるので、好みで調整してみてください。

現代栄養学から見ると——朝食が、夜の眠りをつくる

最後に、現代栄養学からひとつだけ。

眠りをつくるホルモン「メラトニン」の原料はセロトニンで、そのセロトニンは朝に摂った「トリプトファン」というアミノ酸からつくられます。納豆、豆腐、味噌汁、卵——。和食の朝ごはんはトリプトファンの宝庫です。夜の眠りの仕込みは、朝から始まっています。

また、セロトニンの約9割は腸でつくられるといわれています。

腸内環境を整えることが、眠りを整えることにもつながります。発酵食品を日常に取り入れることは、腸にとっても眠りにとっても、確実な一歩となります。

薬膳も自然療法もマクロビも、そして現代栄養学も——。それぞれ違う言葉で、同じことをいっていたのかもしれませんね。

まとめ

眠れない夜の原因は、ひとつではありません。ですが、食卓から変えられることは、思っているよりたくさんあります。

全部いっぺんにやろうとしなくていいのです。しいたけスープを一杯つくってみる。夕食を少し早める。朝に納豆をひとパック加えてみる。小さなことから始めてみてください。

食事以外のセルフケアについては、頭寒足熱の話呼吸から始めるセルフケアもあわせて読んでみてください。

はやま

食事と睡眠の関係とあわせて、睡眠そのものが体にどう働くかも知っておくと理解が深まります。こちらの記事もどうぞ。