眠っても取れない疲れには、眠り以外の答えがある——呼吸から始めるセルフケア

整体する女性

よく眠ったはずなのに、朝から体が重い。

一日働いたあと、疲れているのはわかる。でも、翌朝起きたときにもまだ疲れが残っている——この感覚、覚えがある方は多いのではないでしょうか。

「睡眠の質が悪いのかも」「年齢のせいかな」と思いがちですが、整体的な見方では、そこに別の答えがあります。

眠っても取れない疲れの多くは、「呼吸が浅い体」によって作られている。

これを知ったとき、わたしは少し腑に落ちました。徹夜明けの疲れではなく、じわじわと積み重なって取れなくなった疲れは、たしかに「別の種類」だと感じていたからです。

疲れが「取れない」のではなく、「作り続けている」

呼吸が浅くなると、体にどんなことが起きるか。

胸郭(肋骨まわり)が動かなくなり、酸素の取り込みが減ります。すると体は常にエネルギー不足のような状態になり、ちょっとしたことでもすぐ疲れる。さらに、胸が動かないと背中の筋肉も固まり、全身の血流が悪くなります。老廃物がうまく流れなくなると、疲労感はさらに蓄積していく。

眠っている間も、浅い呼吸のまま朝を迎えてしまうと——。体は修復される前に、また次の一日を迎えることになります。

疲れが取れないのではなく、眠りながらも疲れを作り続けているかもしれない。そう考えると、「よく寝たのに疲れが残る」ということの意味が変わってきます。

はやま

雑誌の編集をしていたころは「疲れたら寝る」しか知らなかった。でも、締め切り明けに12時間寝ても体が重いことがある一方で、4〜5時間しか寝ていないのにスッキリしている朝もあって。この違いはなんだろうと、ずっと思っていました。

「頑固な人は体も頑固」——体と心はつながっている

整体の世界には面白い観察があります。体が硬くこわばっている人は、性格的にも頑固だったり、人の意見を受け入れにくかったりする傾向があるという話です。

逆もある。体の硬さがほぐれると、不思議と気持ちも柔らかくなって、些細なことで怒りにくくなったという話を聞いたことがあります。「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉は、あながち精神論ではなかったのかもしれない。

慢性的な疲れのなかにいると、体だけでなく、心もすり減っていきます。「なんとなく気分が重い」「些細なことでイライラする」——こういった状態も、体の疲れと深くつながっていることがあります。

今夜からできる3つのこと

整体の手順

①「大の字」で体を広げる

仰向けに寝て、両腕をゆっくり頭の上に伸ばします。このとき、背中が自然に反って胸が開く感覚があればOKです。腕が床につかなくても大丈夫。届く範囲で、ゆっくり息を吸いながら伸ばして、吐きながらゆるめる。これを数回繰り返すだけで、縮こまった胸郭がじわっと広がっていくのがわかります。肋骨の一本一本が動き出すような感覚があれば、呼吸が深くなっているサインです。

②肩甲骨まわりをゆるめる

四つんばいになって、首をゆっくり上に向けます。このとき、肩を上げず、首だけをゆっくり伸ばすように意識してください。引っかかりを感じたところで止めて、そのまま2〜3呼吸。背中の真ん中(三角点)に力が集まる感覚があれば、深いところに刺激が届いています。これを数回。慣れてきたら、四つんばいから上体をゆっくりねじって、腕を頭の方向へ伸ばす動きをプラスしてみてください。

③前腕から肩まで「流す」

腕の疲れは、意外と全身の疲れに直結しています。パソコン作業や育児で酷使する前腕の筋肉が固まると、上腕、肩、背中と疲れが連鎖するからです。反対の手の親指で、前腕の内側(肘から手首にかけて)をゆっくりなぞるように押していきます。「ここ、固いな」と感じる場所で少し止まって、ゆっくり圧をかけながら息を吐く。これだけで、肩まで軽くなることがあります。

はやま

①の「大の字」はとくに気に入っています。寝る前にやると、普段いかに胸を縮めて一日を過ごしていたかがわかります。腕を頭の上に伸ばしきったとき、肺に空気が入ってくる感じ—。—「ああ、今日も体を使い倒したな」という、悪くない疲れを実感します。

疲れたら、まず「広げる」

疲れたとき、人は体を縮めます。背中を丸めてソファに沈む、膝を抱えて丸くなる——それは体が自然に取る防御姿勢です。

でも、その姿勢のまま眠ってしまうと、体は縮んだまま朝を迎えることになります。

寝る前の5分、「大の字」になって体を広げてみてください。呼吸が深くなれば、それだけで体の修復力が少し変わります。

毎晩続けているとじわじわ実感できます。

はやま

眠っても疲れがとれないという方に、まず読んでほしい記事があります。睡眠中に脳と体に何が起きているか——こちらです。

※本記事は個人の体験と学習にもとづくものです。強い倦怠感・発熱・めまいなどの症状が続く場合は、医療機関を受診してください。