「仕事から帰ったら、もう何もできない」
「子どもを寝かしつけながら、自分も落ちてる」
「疲れたって言っても、誰も代わってくれない。休んでいる場合じゃない」
……そうですよね。疲れるのは当然です。仕事も家事も育児も、全部こなしているんだから。でも今日ここでお伝えしたいのは、「休んでください」という話ではありません。疲れはしょうがない。でも、その疲れの深さは、食卓と暮らしで変えることができる——そういう話をします。
はやま
自然療法から——まず「しかばねのポーズ」だけ試してみて
自然療法で「慢性疲労への最初の一手」として紹介されることが多いのが、ヨガのシャヴァーサナ、日本語でいう「しかばねのポーズ」です。
仰向けに寝て、足をこぶし一つ分ほど開き、手のひらを上に向けて体の横にそっと置く。あとは全身の力をゆるめるだけ。5〜8分ほど続けると、睡眠時の約3倍の深い休息が得られるといわれています。
「それ、ただ寝てるだけでは?」と思いましたよね。違います。「寝る」と「全身の力を意識的に抜く」は、似ているようでまったく別なのです。
はやま
育児の合間、子どもが昼寝をしているわずか5分でも十分です。
「何もしない時間がつくれない」と感じているお母さんほど、横になりながらスマホを見てしまいがちですが、それは残念ながら休息にはなっていません。目を閉じて、ただ「重力に身をゆだねる」感覚を味わってみてください。体が変わり始めます。

「こんにゃくの温湿布」で内臓を温める
慢性的な疲れや過労状態には、肝臓・腎臓・お腹まわりを温める「こんにゃくの温湿布」もおすすめ。熱湯でこんにゃくを温め、タオルで包んでお腹に当てるだけ。代謝を促し、体の中にたまった疲れを根本からほぐしてくれます。
大げさな健康法に聞こえるかもしれませんが、材料費は100円ほど。やってみると、じわじわと体の芯まで温まる感覚があり、終わった後に体がふっと軽くなるのがわかります。忙しい日の夜、子どもを寝かしつけながら横になって当てておくだけでいい。
「足浴(そくよく)」で神経の疲れを流す
ゆっくりお風呂に入る時間がない——そういうお母さんには「足浴」が向いています。洗面器一つで、家事の合間でもできます。少し熱めのお湯(42〜43℃くらい)に足首まで浸けて10〜15分。それだけで全身の血行が促され、蓄積した神経疲労がすっきりとほぐれていきます。
眠れない夜の足浴については別の記事でも書いていますが、「疲れているのに眠れない」という人にはとくにおすすめです。体を温めて副交感神経を優位にすることで、深い眠りへの扉が開きます。
「梅しょう番茶」で体の中から充電する
飲み物による内側からのケアとして、ぜひ試してほしいのが梅しょう番茶です。熱い番茶(ほうじ茶ではなく番茶)に梅干しを一個入れ、醤油を少量、生姜のすりおろしを加えて混ぜるだけ。
疲れで蒼白だった顔に赤みがさすほどの即効性があるといわれています。新陳代謝を促し、血行を整え、体の内側から活力を補ってくれます。
はやま
薬膳・漢方から——「気虚」という状態を知っていますか
薬膳・漢方の視点では、休む暇もなく働き続けて疲れ切っている状態を「気虚(ききょ)」と呼びます。体のエネルギーである「気(き)」が不足している状態です。さらにストレスや精神的な緊張が重なると、気の巡りが滞る「気滞(きたい)」という状態になります。
「難しそう……」と感じた方、大丈夫です。漢方の知識を頭に入れる必要はありません。ただ、「今わたしはエネルギーが足りていない。補わないといけない」という視点で自分の体を見るようになるだけで、選ぶ食材が少し変わってくるからおもしろいのです。
「気の源」を補う食材
体が疲れ切っているとき、漢方では「気の源」となる食材を積極的に摂ることが重要です。とく手軽で効果的なのが次の二つです。
もち米は、普通のうるち米よりも慢性的な疲労回復や体力増強に効果があるとされています。いつものご飯に少し混ぜて炊くだけでいい。
鶏肉は「五臓を補い、元気を出す食材」の代表格とされています。胃腸の働きを助けてくれるので、疲れすぎて食欲がないときにも向いています。生姜と一緒に煮込んだスープが最もおすすめ。
香りで「気の巡り」を整える
ストレスで気の流れが滞っているときは、香りのある食材・飲み物が助けになります。ジャスミン茶は自律神経のバランスを整え、リラックスさせてくれます。みかんやオレンジなどの柑橘類の香りも、気の巡りをスムーズにするとされています。ミント、シソ、パクチーといったハーブ類も同様の働きがあります。
「食べる」だけでなく「香りを嗅ぐ」だけでも効果があります。精神的に疲れた日には、みかんの皮をむきながら、その香りをゆっくり吸い込んでみてください。それだけで、少し気持ちが軽くなるはずです。

温かいスープ一杯が、最高の疲労回復食
薬膳では、食材の有効成分が溶け出し消化吸収されやすい「スープ・煮込み料理」が最善の調理法とされています。鶏肉、生姜、あれば棗(なつめ)などを入れた温かいスープは、疲労回復の即効性が高い一品です。
疲れが溜まると胃腸も弱ります。冷たい飲み物や生ものを控え、温かいものを意識して摂るだけでも、体の回復速度はじわじわと変わってきます。
マクロビオティックから——「ご飯、みそ汁、漬物」でいい
マクロビオティックの考え方の根本には「中庸(ちゅうよう)」という概念があります。体と心のバランスを取り戻すこと。がんばりすぎず、不足しすぎず、自然なリズムの中で生きていくこと。
そしてマクロビが慢性疲労を抱えるお母さんへ送るアドバイスは、驚くほどシンプルです。
「特別なごちそうをつくろうとしなくていい」
完璧な食卓を準備しようとするプレッシャーが、さらに心身を消耗させていませんか。「一汁一菜」という考え方にあるように、ご飯・みそ汁・漬物というシンプルなセットが揃えば、それで十分な食卓です。
はやま

玄米とごま塩——スタミナと心の安定をつくる食事
マクロビオティックが「疲れにくい体の根幹」として推すのが玄米です。脳の主要なエネルギー源であるブドウ糖を穏やかに継続供給してくれるため、精神的な安定をもたらし、スタミナを養う力があります。いきなり玄米100%が難しければ、白米に玄米を混ぜるところから始めて、少しずつ割合を増やしていくだけでも、体の底力は変わってきます。
また、ごまのカルシウムと自然塩のナトリウムを合わせたごま塩は、地味だけど、毎日続けると体が変わる。毎食のご飯にひとふりするだけでいいのです。
「よく噛む」——忙しい人ほど、これが回復の近道
「休む時間がない」人にこそ試してほしいことがあります。食事をひと口80回以上かけてよく噛んで食べること、です。
噛む行為そのものが、脳の働きを整え、消化を助け、精神的な安定をもたらします。忙しくて早食いになりがちなほど、実は消化にエネルギーを奪われて疲れが増幅してしまいます。ゆっくり噛むことは、薬でも運動でもなく、ただ食べ方を変えるだけ。それが最高のセルフケアになります。
あわせて、食べすぎを控えることも大切です。疲れているとつい食べすぎてしまいますが、内臓に負担をかけると余計に疲れが深くなります。腹八分目を意識するだけで、回復スピードは変わってきます。
まとめ——今夜、しかばねのポーズで横になってみてください
三つの視点から、慢性的な疲れへの手当てをお伝えしました。どれか一つだけ試すとしたら、今夜寝る前の「しかばねのポーズ」を選んでほしいと思います。
子どもが寝静まった後でいい。布団の上に仰向けになって、手のひらを上に向けて、目を閉じる。「何もしなくていい」という状態に自分を置いてみてください。5分でかまわない。
疲れた体は、回復のための時間と材料を必要としています。その材料を食卓から補い、回復の時間をしかばねのポーズで確保する。その小さな積み重ねが、長く続く毎日を少しずつ変えてくれます。
はやま
※このブログの情報は、医療機関の監修を受けておらず、病気の診断、治療、予防を目的とするものではありません。記事内でご紹介している効果効能についても栄養素や成分に関するものであり、商品やサービスに関するものではないことにご注意ください。体調不良が長く続く場合は、医療機関で相談することも大切です。食卓でできること、専門家の力を借りること、その両方が、あなたの体を支えます。

