「子どもがゲームばかりで心配です」——食卓アドバイザーはやまに相談してみたら

ゲームする子ども

「子どもがゲームやYouTubeばかりで心配です。取り上げたほうがいいでしょうか」

せっかくご相談いただきましたが、葉山は育児カウンセラーではありませんのでお答えすることはできません。

——というのは冗談ですが(笑)

子どもを高校生まで立派に育て上げた子育ての先輩として、ありがたくお受け取りください。

——というのも冗談ですが(笑)

いちおう真面目にお断りしますと、葉山は以前、数年間にわたって子育て関連の媒体で連載を持っていたことがあります。その折に脳科学者の方にも何度かインタビューする機会をいただきまして、ふつうの方よりはちょっぴりくわしかったりします。現在の科学で確かだとされている知見をベースに、食卓アドバイザーの視点から回答させていただきますね。

ゲームは「敵」ではない

まず、大前提として。

ゲームそのものは、悪いものではありません。

空間認識力、問題解決能力、反射神経、協調性——。ゲームによって育まれる力は確かにあります。友達とオンラインで笑い合う時間も、今の子どもたちにとってはれっきとした「遊び」のひとつです。

問題は「ゲームそのもの」ではなく、「やりすぎること」によって生じる生活の乱れです。ここを押さえておくと、子どもとの話し合いが「弾圧」ではなく「交渉」になります。「ゲームは悪い」という立場から「やめなさい」と言い続けると、子どもにはただの理不尽に映ります。

ゲームは認める。でも「やりすぎ」の影響については一緒に考える——この姿勢がスタート地点です。

はやま

わが家は「ゲーム禁止」ではありませんでしたが、Switchは買いませんでした(笑)。そのあたりの話はこちらの記事にもすこし書いています。

「やりすぎ」で起こりやすいこと

科学的に信頼度の高いものをまとめます。なお「ゲーム脳」という言葉をご存知の方もいるかもしれませんが、この概念は科学的根拠に乏しく、専門家から強く批判されています。ここでは使いません。

① 睡眠への悪影響(エビデンス:強)

最も確実で、最も見落とされやすい弊害です。画面から出るブルーライトは眠気を誘うホルモン(メラトニン)の分泌を妨げ、ゲームや動画の興奮状態は脳をなかなかオフにしてくれません。

夜更かし→朝起きられない→授業中ぼんやり、という連鎖は多くの研究で確認されています。「うちの子、最近なんだかぼんやりしていて……」という場合、夜のスクリーン時間を見直すと改善することが少なくありません。

② 勉強時間の減少(エビデンス:中〜強)

ゲーム時間が長い子どもほどテストの点が低い傾向がある——この相関は複数の調査で確認されています。ただし「ゲームが脳を悪くする」わけではなく、ゲームに時間を使うぶん勉強時間や読書時間が削られているという生活習慣の問題がほとんどです。

③ 依存傾向(エビデンス:強)

WHO(世界保健機関)は2019年に「ゲーム障害」を正式な疾病として分類しました。「やめられない」「嘘をついてでも続ける」「取り上げると激しく怒る」——こうした状態は、遊びの範囲を超えた依存のサインとして説明できます。

④ 情緒・行動面の変化(エビデンス:中)

ゲームをやめる際の癇癪、イライラ、現実への無関心——こうした反応が見られることがあります。ただ注意したいのは、ゲームそのものより、ストレスや孤独の逃げ場としてゲームが使われているケースが少なくないという点です。「なぜゲームにそこまで引き寄せられているのか」を考えてみることも大切です。

⑤ 運動不足と姿勢の悪化(エビデンス:強)

長時間の座りっぱなしは、猫背・ストレートネック・外遊びの減少を招きます。体を動かす時間は、睡眠の質とも深く関わっています。

年齢別・ゲーム時間の現実的な目安

研究ベースの「上限」は平日2時間以内・休日3時間以内とされています(長崎大学の調査をもとにした専門家の推奨)。ただし実際の教育現場や親子支援の場では、もう少し短い時間が「守りやすい現実的な目安」として使われています。宿題・習い事・夕飯・お風呂・就寝時間を考えると、平日に2時間のゲームを組み込むのは多くの家庭で難しいからです。

以下はあくまで目安です。大切なのは「時間そのもの」より、睡眠・宿題・生活リズムが崩れていないかどうかという視点で見ることです。

年齢平日の目安休日の目安この時期のポイント
幼児(3〜6歳)15〜30分30〜60分睡眠・外遊び・親子の会話が最優先。ゲームは「短いご褒美」として
小学校低学年(6〜9歳)30〜45分1時間前後切り替えがまだ難しい時期。タイマーが効果的
小学校高学年(10〜12歳)45〜60分1〜2時間「やる前の条件」と「終わり方のルール」がとくに重要
中学生(13〜15歳)1〜2時間2〜3時間ストレス解消の側面も大きい。完全禁止は逆効果になりやすい
高校生(16〜18歳)1〜2時間2〜3時間夜更かしゲームが最大リスク。時間より「生活リズム」で管理を

ケンカにならないルールの作り方

「ゲームは1時間まで」と親が一方的に決めると、子どもにとっては「押しつけ」です。実証的に効果があるとされているのは、子どもと一緒に話し合って決める方法。自分で決めたルールは守りやすいものです。わたしたち大人も含めて人間は。

① 「やるべきこと → ゲーム」の順番を決める
宿題・明日の準備・お風呂などを終わらせてからゲーム、という順番を合意しておく。「ゲームをやめさせる」より「先にやることを終わらせる力」を育てる発想です。

② 1日の上限時間を子どもと決める
上の目安を参考に一緒に決める。紙に書いて貼っておくと口約束より守りやすい。守れたら褒める(罰より効果的)。

③ 「終わり方」を決める
「あと1回だけ」が無限に続くのはゲームあるあるです。「タイマーが鳴ったら」「このステージが終わったら」など、子どもが納得できる区切りを事前に決めておく。タイマーを使うと、親子のケンカが格段に減ります。

④ 寝る前1時間はゲーム・動画なし
睡眠への影響を考えると、ここは厳守すべき。その価値があります。「寝る前は静かな時間にしようね」という声かけだけでも変わってきます。

⑤ 課金ルールを明確にしておく
「課金は必ず相談してから」「プリペイドカードの範囲内だけ」など。ゲームトラブルの多くはここから来ます。早めに決めておいて損はありません。

⑥ 親も関わる
どんなゲームをしているか、ときどき聞いてみる。できれば少し一緒にやってみる。「親に見せられるもの」という意識が、子どもの行動を自然に整えます。

以下のようなサインが見られるときは、ゲームの問題というより、学校や友人関係など、別のところにストレスの原因がある可能性があります。

注意したいサイン

  • ゲームをやめさせると激しく怒る
  • 食事や睡眠を削ってまで続ける
  • 成績が急に下がった
  • ゲーム時間について嘘をつく

食卓アドバイザーとして——食事と生活習慣でできること

さて、ここからが本領発揮です(笑)

ゲームのやりすぎによる「眠れない」「興奮が収まらない」「すぐキレる」といった状態を、自然療法やマクロビオティックの世界では、神経が過剰に興奮し、体内に熱がこもっている状態と捉えます。現代医学とは異なる視点ですが、長年の食養の知恵として積み重ねられてきたものです。薬で抑えるのではなく、毎日の食事と生活習慣で静かに整えていく——そういうアプローチです。

まず、神経を乱すものを減らす

白砂糖、スナック菓子、清涼飲料水——これらは血糖値を急激に上げ下げし、神経を不安定にさせやすい食品です。イライラ、落ち着きのなさ、睡眠の乱れとも関連が指摘されています。

ゲームをやめさせると激しくキレる。そういうお子さんは、こうした食べ物が日常的に多くなっていることが少なくありません。「入れすぎているものを減らす」ところから始めるだけで、変わってくることがあります。

脳と神経の土台をつくる食事

おすすめは、ごはんを中心にした和食の基本です。

できれば白米より玄米・分つき米・麦ごはんに。未精製の穀類は糖が体内でゆっくり吸収されるため、血糖値が安定し、気持ちの波が小さくなります。食養の世界では「玄米食の子は落ち着いている」と昔からよく言われます。いきなり玄米が難しければ、白米に麦を混ぜて炊くだけでも十分です。

みそ汁とごま塩も、地味ながら強力な組み合わせです。発酵食品であるみそは腸内環境を整え、気分の安定に関わります。ごま塩に含まれるカルシウムとナトリウムは、神経の興奮を鎮める働きがあるとされています。「ごはん・みそ汁・ごま塩」というシンプルな食卓が、子どもの心の土台をつくってくれます。

野菜もたっぷりと。夕食にねぎやたまねぎ、黒ごま、ゆり根を使った温かい料理を取り入れると、神経を落ち着かせる効果があると言われています。

よく噛んで食べること。噛むという行為そのものが脳の働きを整え、精神的な安定をもたらします。食事中のスマホやテレビは、できれば置いてもらいましょう。

興奮した頭をクールダウンする

ゲームで頭がほてって眠れないようなとき、マクロビオティックで古くから使われてきたのがしいたけスープです。しいたけは頭部にこもったエネルギーの過剰を鎮める食材とされており、夕食にさっと一杯出してあげると寝つきが変わることがあります。出汁をとって軽く塩を加えるだけの、シンプルなスープで十分です。

飲み物は三年番茶や梅しょう番茶を。カフェインが少なく、心身を穏やかに整えてくれます。清涼飲料水やジュースの代わりに、少しずつ切り替えていけると理想的です。

もうひとつ、かなり民間療法的な話になりますが、刻んだたまねぎを枕元に置くという方法があります。たまねぎの揮発成分に神経をリラックスさせる作用があるとされていて、眠れない夜に試してみる価値はあるかもしれません。お子さんに「くさい!」と言われたらすぐやめてあげてください(笑)

朝の光を浴びさせる

夜のゲームで乱れた体内リズムを整えるのに、朝の日光が効果的です。起きたらカーテンを開け、できれば少しだけ外に出る。自律神経がリセットされ、夜には自然と眠くなるリズムが戻ってきます。特別な食材も道具もいりません。ただ光を浴びるだけ。

はやま

ここでご紹介した食事のアドバイスは、わが家が実践してきたメソッドそのものではありません。うちの場合は自然体験や読書体験を優先してきたので、食事面でここまで意識してきたわけではありません。食卓アドバイザーとしての知見としてご紹介しています。

できれば——自然の中に放り込んでやってください

最後にひとつだけ、個人的なことを。

ルールや食事についていろいろとお伝えしてきましたが、わたしが心の底から「これがいちばんだ」と思っているのは、子どもを自然の中に連れていくことです。

ゲームに子どもが強く引き寄せられるのは、現実がそれほどおもしろくないからかもしれない、ということが、この問題の根っこにある気がしています。泥の感触、川の冷たさ、虫の動き、雨上がりの土のにおい。そういうものと体ごとぶつかる経験は、どんなゲームも再現できません。

遠くへ行かなくても大丈夫。都市部でも、一時間ほど車や電車で移動すれば、雑木林や里山は必ずあります。完璧な「大自然」でなくてかまいません。川沿いでも、土手でも、ちょっとした公園でも——。画面のない時間を外で過ごすこと。それが、長い目で見ると最高のゲーム対策だとわたしは思っています。

今の子どもたちは、自然に触れ合う機会が本当に少なすぎます。子どもが自然の中で感じる驚きや喜び、いわゆる「センス・オブ・ワンダー」を守ることの意義については、こちらの記事に書きました。よかったらあわせて読んでみてください。

はやま

相談してくださって、ありがとうございます。心配しているということは、ちゃんとお子さんのことを見ているということです。それだけで、十分すごいことだと思いますよ。——葉山一郎