「子どもに怒鳴らなくなりたい」——食卓アドバイザーはやまに相談してみたら

お母さん

「子どもに怒鳴ってしまいます。毎回後悔するのに、また繰り返してしまう。自分がいやになります」(30代・主婦)

それはあなたの性格のせいではありません。育て方のせいでもない。体が、疲れているだけです。

わたしも娘が小さいころ、つい声を荒げてしまい、台所でひとり落ち込んだ夜が何度もありました。だから、その気持ちがよくよくわかります。

疲れているとき、体調がすぐれないとき——わたしの場合はとくに体を壊していたころがいちばんきつかった——胸の内でネガティブな感情がとぐろを巻くことがあります。

他人に怒りを感じたとき、相手に原因があると考えがちですが、実はそうではありません。先に自分の内側に負の感情(マグマのようなもの)があって、外側の些細なことが引き金になって爆発しているだけ。相手なんて本当は関係ないんです。ぜんぶ自分の内側で起きていることです。

気分のいいときの自分の反応と比較すれば一目瞭然です。ふだん平気なことが、無性に癇に障ったりしている。瞑想をすると、そのことがよくわかります。

それに気づいてから、心で黄色信号が点滅しだしたら、極力だれにも近づかないと決めました。究極のアンガーマネージメントです(笑)。ところがそういうときにかぎって、誰かがふらふらと寄ってくる。

はい、ドカン。

ほーら、いわんこっちゃない。飛んで火に入る夏の虫とはまさにこのこと、などと頭の隅っこでは冷静に眺めているのですが、それでも怒りは止まらない。そこまで自覚していても、ドカンは止められない。ヘトヘトメントからイライラメントになって、ガマンメントするけど、すぐドナルメントしてしまう。

アンガーマネージメントが助けになるのは、ある程度、心身の調子がいいときの話。体を壊していた時期、それを痛感しました。心と体が限界だと、マネージメントもパーマネントもトリートメントも役に立たないのだと。

……前置きが長くなってしまいました。

そういうわけですから、怒鳴るのを意志の力で止めようとしてもなかなか難しい。胸のなかにある負の感情にアプローチする方法を、家庭で実践しやすい「食」の観点からお話ししたいと思います。

はやま

どんなに立派なアンガーマネジメントの本を読んでも、ヘトヘトな時は「ガマン」の限界をあっさり超えて「ドカン」となってしまう。心身がボロボロな時は、マネジメントどころではありませんよね。

漢方や自然療法、マクロビの視点から

漢方では、怒りっぽくなるのは「気の巡りが滞っている」サインだといいます。毎日の家事と育児で心身が限界を超えているとき、体はそのまま「怒り」というかたちでSOSを出してしまうのです。感情のコントロールができないのではなく、コントロールするための余裕が、体のなかに残っていないのです。

はやま

「もっと穏やかなお母さんになりたい」と思っている時点で、すでにお子さんのことを大切にしています。問題は心がけではなく、体のバランスです。

腸が整うと、心が変わる

わたしたちが「幸せ」を感じるときに働くセロトニンというホルモン、その約90%は腸でつくられています。つまり、腸内環境が乱れると、心も不安定になりやすいのです。

理由もなくイライラするときは、一杯の味噌汁から始めてみてください。

発酵食品である味噌は、腸内の善玉菌を喜ばせ、心を安定させる環境を整える働きも期待できます。料理研究家の友人も「精神科の先生に、毎日味噌汁を飲むよう勧められた」といっていました。発酵食品と心の関係は、いま医学的にも注目されています。

「香り」で、滞った気をほぐす

漢方では、香りの強い食材が「滞った気を動かす」といいます。

しそ、みつば、セロリ、パセリ。これらを料理の仕上げに小さじ一杯散らすだけでいい。夕飯のお味噌汁にしそをひとつまみ、冷奴にみつば。それだけで、体のなかでこわばっていた何かが、少しだけゆるむ感じがありますよ。

はやま

うちの妻は疲れているとき、みかんをむいて食べることが多い。あの香りが部屋に広がると、なんとなく空気が変わる気がします。本人はそんなこと考えていないと思いますが(笑)

ごま塩を、食卓に置いておく

マクロビオティクス(玄米採食)では、ごま塩を「食べるお守り」と呼ぶそうです。

ごま塩は、昔から神経を落ち着かせる食材として親しまれてきました。怒りがこみあげてきそうなとき、ごはんにひとふりする。冷蔵庫の前でイライラしそうになったとき、ごまを数粒つまんでカリッと噛んでみる。これだけでも、不思議と「ふう」とひと息つけます。なぜか気持ちが少し落ち着きます。

今夜はココアを、明日は味噌汁を

いろいろな食の知恵をお話ししましたが、あれもこれもとがんばる必要はありません。

子どもが寝たあと、もし台所でひとりになれる時間があったら、まずはミルクを温めてココアを一杯つくってみてください。甘くて、温かくて、ほんの少しだけ苦い。それを飲んでいるあいだだけは、今日の反省をぜんぶ横に置いておきましょう。

今日怒鳴ってしまったとしても、それでいい。後悔できるということは、しっかりと子どものことを真剣に考えている証拠です。

ゆっくり息を吐いて、今日もがんばった自分を少しだけいたわってあげてください。そして明日の朝、また温かい味噌汁を一杯つくる。そこから始めてみませんか。