「娘が中学受験で不合格でした。どう声をかければいいか」——食卓アドバイザーはやまに相談してみたら

夕飯の支度をする母と窓の外を見る息子

——葉山さんの娘さんはいま高校生だと聞きました。中学受験はされましたか? うちの娘が先日の受験で不合格になってしまって。娘は部屋にこもったまま、どう声をかけていいかわからなくて。私自身もショックで、正直まだ立ち直れていません。

今回ご相談をくださったのは、40代のAさん。娘さんの受験に向けて二年間、家族みんなで取り組んできました。「娘のためにできることは全部やった。それでも結果が出なかった。娘の泣き顔が頭から離れない」というのが、相談の出発点でした。

わたしの答えを先に言いますね。

いま一番つらいのは、お母さん自身かもしれません。

はやま

中学受験、しましたよ。落ちました。みごとに(笑) 娘が都立の中高一貫校を受験したいと言い出したのは、自分からです。小学校の友だちたちにうまくなじめなくて、環境を変えたかったみたいですね。僕のスタンスは最初から「別に受からなくてもいい」というものでした。受験前か後か忘れましたが、こんなことを言ったのは覚えています。「だめでも、のちのちあれでよかったなと思うことなんて山ほどあるよ。パパの経験則だよ」。落ちた日、娘は「そっかあ」で終わりました。

子どもは、親の顔をよく見ている

中学受験は、多くの場合、子どもより親のほうが熱心だったりします。だとすれば、不合格のショックも親のほうが大きい。

子どもは、親の顔をほんとうによく見ています。親がおろおろしていると、「これはそんなに大ごとなのか」と感じる。親の不安は増幅されて、子どもに伝わっていきます。

僕の母がそういうタイプでした。何か失敗するとおろおろして、僕を怒ったりした。お手本になるはずの親が失敗に対処できていないわけですから、僕も子どものころは打たれ弱かったです(笑)

小学生のころ、地域のソフトボールチームに入っていました。試合でエラーしたり三振したりすると、観客席の親の顔が気になってしかたなかった。クラスメートの目も気になった。月曜に馬鹿にされるんじゃないかとか。そういうことを考えているとまたエラーする、また空振りする(笑)

思春期はなおさらです。自意識が風船みたいに肥大する時期だから、失敗を恥だと感じる。こんなみじめな姿、誰にも見られたくない、と。

ほうっておくのが、いちばんのやさしさ

そういうとき、お母さんはどうしてほしいですか?

そっとしておいてほしいですよね。何もなかったようにふるまってほしい。それがやさしさだと、僕は思う。

小中学校や学生時代、他人が失敗したらはやしたてたり、よけいなことを言ってくる級友がいた。その一方で、何も言わずいつも通りに接してくれる級友もいた。そういうとき、ああ、こいつはわかってくれている、ほんとうの友達だと気づく。

親も同じです。なぐさめる必要さえない。ただ、いつも通りでいてあげることです。

中学受験の不合格なんて、人生という障害物競走の最初のほうにある、ほんのちっぽけなハードルのひとつです。これから先、もっと大きな失敗や挫折が何度もやってくる。その予行演習だと思えばいい。むしろ、失敗してそこからむくりと起きあがる方法を身につける絶好の機会。

自力で乗り越えるのを、ただ見守る。

立ち直りますよ、すぐに。中学に入れば。

食卓を整えてあげたら、もっと早く。

しなやかで強い心をつくる食卓

落ち込んでいる子どもに、言葉よりも先に手料理を。

なにも特別なごちそうでなくてかまいませんよ。温かくてシンプルな、愛情のこもった一汁三菜がいまのお子さんにはぴったりです。「あなたのことをちゃんと見ているからね」というメッセージは、言葉より食卓のほうがずっとよく伝わります。

気持ちを切り替えて前へ向かうための、しなやかで強い心をつくる食事があります。

玄米・分づき米・麦ごはん。白米や食パンと違って血糖値を緩やかに保つため、感情の浮き沈みが減ります。玄米に含まれるガンマオリザノールという成分は自律神経を整え、神経を強くすると言われています。何事にも動じない精神力の土台をつくる主食です。

根菜料理。地中に深く根を張る根菜は、人間の「根っこ」である精神的な持久力を養うとされています。とくに時間をかけてじっくりと炒めたきんぴらごぼうは、気持ちを前向きにしてくれます。根菜たっぷりのお鍋もおすすめです。

大豆製品・小豆・海藻・黒豆・ごま。良質な植物性タンパク質とカルシウム、ミネラルが神経の興奮を鎮め、精神的なゆとりをもたらしてくれます。

避けたいのは、白砂糖・甘いお菓子・清涼飲料水。血糖値を急激に上下させ、イライラや無気力の原因になります。ポテトチップスやインスタント食品も、脳の働きを鈍らせ神経を過敏にすることがあります。

はやま

ひょっとすると、こうした食事が必要なのは親のほうかもしれませんが(笑)。子どもより先に、お母さんの食卓を整えてみてください。親が落ち着いていると、子どもも落ち着いてきますからね。ちなみにうちの娘、その後、自分から都内の難関都立高校を受験すると言い出して、勝手に合格していました。友だちもたくさんできて、楽しくやっているようです。青春できてよかったねといったら「ほんとだよ。わたしには青春なんてこないと思ってた」と返ってきました。なんか複雑でした(笑) 中学受験に成功していたら、いまの学校には行けなかったわけで、終わりよければすべてよし、というやつですね。洗面所で長い時間かけて化粧やマニキュアをして学校へ行くような娘になりましたが、まあそれはそれで(笑)