添加物は全部やめなくていい。でも、これだけは知っておいてほしい——本当に気をつけたいものと、そうでないものを整理してみた

売り場で成分表示を確認する女性

先日の記事(「添加物が気になっています」)では、添加物を知りすぎて迷走した話を書きました。

今回はその続き。「でも結局、何に気をつければいいの?」という疑問にお答えします。

全部やめなくていいです。添加物の数は、日本で使用が認められているものだけで400種類以上あります。全部を把握しようとしたら、それだけで人生が終わります。

だから今日は、絞ります。本当に気をつけたいもの、4つ。それとは逆に「名前が怖そうに見えるだけで、そんなに心配しなくていい」もの。原材料表示の読み方のコツをひとつ。これだけ知っていれば、スーパーでの買い物がすこし変わります。

まず知っておきたい、ラベルの「からくり」

原材料表示を読んでいると、たまに「/」(スラッシュ)や「、」で区切られた後ろに、カタカナが続いているのを見かけます。日本では慣例として、この区切りより後ろが添加物のゾーンです。前が食材、後ろが添加物——。まずこれだけ覚えておくと、ラベルが読みやすくなります。

もうひとつ知っておきたいのが、「一括名表示」というしくみです。

たとえば「乳化剤」と書いてあっても、実際には複数の乳化剤が使われていることがあります。「香料」と書いてあっても、その背後には何十種類もの化学物質が存在することがある。「pH調整剤」「増粘多糖類」「酸化防止剤」も同じです。ひとつの名前で複数の物質をまとめて表示できる、というのが日本の食品表示の現状です。

はやま

だからコンビニのお弁当を見て「添加物が10個しかない」と安心するのは早い。一括名の一つひとつが、複数の物質を指していることがあります。「10個」が実際には「30個」ということも、珍しくありません。

これは怖がらせたくて書いているのではありません。「食品ラベルには、見えている以上のものがある」という事実を知ったうえで、それでも怖がりすぎず、かしこくつきあっていくために必要な知識として、覚えておいてほしいのです。

本当に気をつけたいもの、4つ

何百種類もある添加物の中から、わたしが今でも意識して確認しているのは、以下の3つです。

① タール系色素——子どものいるご家庭ではとくに

ラベルに「赤色40号」「黄色4号」「青色1号」などと書かれているものが、タール系色素です。

もともと石炭の副産物(タール)から作られていた合成着色料で、食品を鮮やかに見せるために使われます。明太子の赤い色、たくあんの黄色、カラフルなお菓子や清涼飲料水——。思っているより、身近なところで使われています。

ヨーロッパでは「子どもの多動性との関連が否定できない」として、いくつかのタール系色素に警告表示を義務づけたり、使用を制限したりしています。日本では引き続き使用が認められていますが、子どもが日常的に食べるものについては、天然色素を使ったものや「無着色」表示のものを選ぶようにしています。

はやま

明太子はわが家の食卓の常連なのですが、「無着色」と書かれた少し茶色みがかったものを選ぶようになりました。最初は見た目が地味だなと思っていたけれど、食べ慣れるとこちらのほうが味が好きになりました。色よりも中身、というのは、花より団子みたいなもので、人生全般に言えることかもしれませんね(笑)

② 亜硝酸ナトリウム——ハム・ソーセージの「発色剤」

ラベルには「発色剤(亜硝酸Na)」と表示されます。ハム、ウインナー、ベーコン、ソーセージ、それから明太子やいくらにも使われています。

肉の色を鮮やかなピンクに保ち、ボツリヌス菌の繁殖を抑える役割を持つ保存料です。ただし、食品中のアミン類と結びついて高温で加熱されると、「ニトロソアミン」と呼ばれる物質が生じる可能性があります。これが、発がん性との関連でしばしば言及される理由です。

「無塩せき」と表示されているハムやソーセージは、亜硝酸ナトリウムを使わずに作られたものです。健康食品店や生協などの一部スーパーで見かけますが、値段はやや高め。毎日の朝食がウインナーというご家庭では、このあたりを切り替えてみる価値はあると思います。

はやま

亜硝酸ナトリウムの怖さは少し誇張されている面があると思います。ニトロソアミンが生成されるには「高温加熱+アミン類が同時にあるという条件が必要ですが、実は野菜(ほうれん草、小松菜など)のほうがハムより硝酸塩の含有量がずっと多かったりする。毎日たくさん食べなければ、そこまで神経質にならなくていい話かもしれません。

③ リン酸塩——目立たないけれど、使用頻度が高い

「リン酸Na」「ポリリン酸Na」「pH調整剤」「結着剤」などとラベルに書かれているものです。「pH調整剤」という一括名に隠れていることが多く、気づきにくいのが特徴です。

ハム、ソーセージ、プロセスチーズ、インスタント麺、冷凍食品——。幅広く使われています。食品のpHを安定させたり、肉の保水性を高めたりする目的で使われます。

過剰に摂取した場合、カルシウムの吸収を妨げたり、腎臓への負担になる可能性が指摘されています。食品から摂取するリンの量は「自然界に含まれるリン」と「添加物由来のリン」では体内での吸収率が異なり、添加物由来のものは吸収されやすいとも言われます。骨の健康が気になる方、成長期のお子さんがいるご家庭では、少し意識してみてください。

はやま

加工肉に含まれる添加物の話をまとめて読んでいくと、ハムやソーセージに対して「これ、ほとんど添加物の固まりじゃないか」という気持ちになる時期がありました。でも今は、毎日食べなければいい、週末の朝に家族でちょっと食べるくらいは楽しめばいいと考えています。完全に排除するより、頻度と量で調整するほうが、長く続けられます。

④ 人工甘味料——「ゼロカロリー」の落とし穴

ラベルに「アスパルテーム」「スクラロース」「アセスルファムK」などと書かれているものです。ダイエット飲料、糖質オフのお菓子、ガム、ノンシュガーの缶コーヒー——。「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」の表示がある食品には、ほぼ確実に使われています。

砂糖の数百倍の甘さを持ちながらカロリーがない、というのが売りですが、近年その安全性に疑問符がつくようになってきました。2023年にWHO傘下の機関がアスパルテームを「発がん性の可能性あり」に分類したことは、広く報じられました。

それ以上にわたしが気になっているのは、腸内細菌叢への影響です。スクラロースやアセスルファムKが腸内の善玉菌を減らす可能性を示す研究が、ここ数年で積み重なってきています。「太りたくないからゼロカロリー飲料を選んでいる」という方が、知らないうちに腸内環境を乱している——。こんな皮肉な話になっているかもしれません。

はやま

そんなこととはつゆ知らず、人工甘味料入りのジュースをよく飲んでいた時期がありました。発酵食品マニアとしては舌打ちがやみません(笑)。今はミネラルウォーターかお茶、気分でコーヒー。甘いものが飲みたいときは、甘酒を少し。「ゼロカロリー」の甘さより、本物の甘さをたまに楽しむほうが、体も心も満足します。

怖そうに見えて、そうでもないもの

添加物のラベルを読み始めると、見慣れない名前がたくさん出てきて不安になることがあります。でも名前が難しそうに見えるだけで、実際にはとても安全なものも多い。いくつか紹介します。

アスコルビン酸——これ、ビタミンCです。酸化防止剤として使われますが、体に必要な栄養素そのものです。果物にも含まれています。

クエン酸——レモンや梅干しに豊富に含まれる、天然の有機酸です。食品の酸味調整や保存に使われます。

炭酸水素ナトリウム——重曹のことです。家庭でも使われているものと同じ。膨張剤として菓子類などに使われます。

乳酸——ぬか漬けや味噌など、発酵食品にも自然に含まれる成分です。食品の酸味や保存に使われます。

カロテン色素、カロテノイド色素——ニンジンやパプリカなどに含まれる天然色素です。タール系色素とは別物です。

ラベルに難しいカタカナを見つけたとき、まずひと呼吸おいて「これは何だろう」と調べてみる習慣がつくと、怖さが好奇心に変わっていきます。

スーパーで使える、シンプルな選び方

最後に、日々の買い物で実際に使えるコツを3つ。

原材料の「長さ」で選ぶ。成分表示が短いほど、使われている添加物も少ないものです。ドレッシングひとつ取っても、「醸造酢、食塩、植物油」で終わるものと、見知らぬカタカナが10個並ぶものでは、中身が違います。どちらを選ぶかは自由ですが、選んでいる、という意識を持つことは大事です。

「色」が不自然に鮮やかなものに気をつける。お惣菜や加工食品の色が、妙に鮮やかだと感じたとき、それはラベルを確認するサインです。とくに子どものお菓子や、色のついた漬け物類は確認する習慣をつけておくといいと思います。

「一括名」が連続しているものは少し立ち止まる。「乳化剤、香料、pH調整剤、増粘多糖類」がずらっと並んでいる場合、それぞれが複数の物質を指している可能性があります。絶対に買わない、ということではなく、「このくらいの頻度でいいかな」と考えるための材料にしてください。

はやま

わたしが注意しているのは、毎日食べるものにこそ少し気をつける、ということです。毎朝食べる味噌、毎日かける醤油、毎日飲むお水——。日常の「基本食材」はなるべくシンプルなものを選ぶ。外食は気にしない、誰かの家でいただくものは黙って食べる(笑)。それくらいのゆるさが、長続きの秘訣です。

まとめ——知識は「武器」より「羅針盤」に

添加物を全部やめることはできないし、やめる必要もありません。でも知識を持つことで、選択肢が広がります。

気をつけたいのは、タール系色素(合成着色料)、亜硝酸ナトリウム(発色剤)、リン酸塩(pH調整剤などに含まれる)、人工甘味料——この4つ。毎日大量に食べるものについては、代替品を探してみる価値はあります。

その一方で、アスコルビン酸(ビタミンC)やクエン酸、重曹など、名前が難しいだけで安全なものもたくさんあります。ラベルで見知らぬ名前を見つけるたびに「また添加物だ」と落ち込まなくていい。

知識を「怖さを増やす武器」にするのではなく、「自分に合った選択をするための羅針盤」にしてほしい。

そして、乱れたら一汁三菜に帰ってくればいい。和食は、いつでも待っています。