三十代の前半、ぎっくり腰をやりました。
本棚を自分で組み立てていたときのことでした。なんというか、腰の奥で何かが「ぶつん」と切れた感覚。声も出なかった。そのまま動けなくなって、妻を呼んで、這ってトイレに行こうとして、諦めて、「おむつ買ってこようか」と言われました。
結局おむつは使わずに済みましたが(なんとか這っていった)、一週間、寝たきりでした。
はやま
体を道具のように使っていた時代
雑誌記者をしていたころ、締め切り前の徹夜は当たり前でした。乗ってくると寝食を忘れて没頭して、気がつけば窓の外が白んでいる。そういうことが幾度となくありました。
問題は、立ち上がった瞬間です。
肩が、腰が、ガチガチに固まっている。首を回すと、ギシギシと音がする。「体を道具として使い倒した」という感覚が、そこだけリアルにやってくる。
最初のうちはストレッチで対処していました。でも、あるときセルフ整体を試してみたら——。体のほぐれ方がまるで違いました。ストレッチが「筋肉を伸ばす」行為だとしたら、整体は「体の連動を取り戻す」行為に近い。うまく言えませんが、その違いは体が教えてくれました。
「東洋の科学」と呼びたい理由
整体というと「なんとなく怪しい」と思う方もいるかもしれません。わたしも最初はそうでした。
でも、勉強してみると、整体には筋肉・骨格・内臓の連動に関する体系的な知識があります。「痛いところをもむ」のではなく、「体全体の流れを読んで、詰まりを解消する」という考え方。これは西洋医学的なアプローチとは異なりますが、まったく根拠のない話でもない。
たとえば肩こり。多くの人は「肩の筋肉が硬い」と思っていますが、整体的には消化器系の慢性的な疲労が原因になっているケースが多いと言われています。胃や腸が疲れると、それに引きずられるように周辺の筋肉が緊張し、やがて肩にまで影響が及ぶ。だから、いくら肩をもんでも根本は変わらないというわけです。
「体は連動している」。これが整体の出発点です。患部だけを診るのではなく、体全体をひとつのシステムとして読む。わたしが「東洋の科学」と呼びたくなるのは、この視点のためです。
現代人は、自分の体を触らなくなった
体のどこかが痛くなったら、整骨院へ行く。疲れがたまったら、マッサージ屋へ行く。それ自体は悪いことではありません。でも、「体のケアを誰かに丸投げすることが当たり前」になっているとしたら、少し立ち止まって考えてみてもいいかもしれない。
自分の体に自分で触れることは、体の声を聞くことでもあります。「今日はここが硬い」「ここを触ると痛い」——そういう小さなサインを日常的に拾える人は、大きなトラブルを未然に防げることが多い。
わたしがぎっくり腰のあと、「腰に爆弾を抱えている」感覚を持ち続けながら、二度目を起こさずにいられているのは(おそらく)、そのサインを見逃さないようになったからだと思っています。
はやま
セルフ整体で何ができて、何ができないか
正直に言います。セルフ整体は万能ではありません。
激しい痛み、しびれ、発熱をともなう症状——。こういった場合は、迷わず医療機関へ行くべきです。セルフ整体は、あくまで「日々のメンテナンス」と「不調の芽を早めに摘む」ための習慣として位置づけてください。
それを踏まえたうえで言うと、慢性的な肩こり・腰の重さ・冷え・だるさ・便秘ぎみといった「なんとなく不調」には、驚くほどよく効きます。お金も時間もかからない。自分の手と、少しの知識があれば、自宅のどこでも、いつでもできる。
ヨガより取り組みやすい、という人もいると思います。ポーズを覚える必要もないし、マットもいらない。椅子に座ったままでも、寝転がりながらでもできる。
症状別のセルフ整体へ
このブログでは、ママさんやパパさんが日常でよく悩む症状を中心に、セルフ整体のやり方を少しずつご紹介していきます。
どれも「これで体がラクになりました」という個人的な体験をもとにしています。「あ、これ気持ちいい」と感じるものから、ぜひ試してみてください。
体のことを、少しだけ自分ごとにしてみてください。毎日5分、自分の体に触れる習慣が、いつかあなたを助けてくれるはずです。
整骨院のあの気難しいおじいさんのところに行かなくてよくなるかもしれないし(笑)、もしかしたら、もっといい出会いのために整骨院を取っておけるかもしれません。
はやま
※本記事は個人の体験と学習にもとづくものです。強い痛み・しびれ・発熱などの症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
『弱った体がよみがえる人体力学』井本邦昭著(マキノ出版)
『内臓を強くする整体法』井本邦昭著(マキノ出版)
※このブログの情報は、医療機関の監修を受けておらず、病気の診断、治療、予防を目的とするものではありません。記事内でご紹介している効果効能についても栄養素や成分に関するものであり、商品やサービスに関するものではないことにご注意ください。体調不良が長く続く場合は、医療機関で相談することも大切です。食卓でできること、専門家の力を借りること、その両方が、あなたの体を支えます。

