アロエベラが「医者いらず」と呼ばれてきた理由——科学で読み解く、身近な万能植物

アロエベラ

子どものころ、ケガをすると母が玄関先のアロエの葉をぼきんと折って、中のゼリーを傷口にすりこんでくれました。

たしかに、傷の治りが早かった。

「気のせいじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。でも今は違います。あの「おばあちゃんの知恵」には、ちゃんと科学的な根拠があったことがわかっているからです。

はやま

わたし自身は今のところアロエベラのお世話になる機会がありません。でも「いざというときのために知っておく」知識として、これほど頼りになるものもないと思っています。家に一鉢あれば、それだけで心強い。

アロエベラは、古くから世界中で「医者いらず」と親しまれてきた多肉植物です。今日はその実力を、研究データとともに紹介します。

アロエベラとキダチアロエ——日本でなじみ深いのはどちら?

アロエには数百種がありますが、薬効が期待されるのは主に3種類。アロエベラ、ケープアロエ、そしてキダチアロエです。

日本の家庭で昔から育てられてきたのは、じつはアロエベラではなくキダチアロエ。細長い葉が特徴で、「医者いらず」の異名で親しまれてきたのはこちらです。

一方のアロエベラは葉が太くて肉厚。中のゲルの量が多く、化粧品や健康食品の原料として世界中で広く使われています。この記事ではとくに研究が豊富なアロエベラについて解説していきます。

アロエベラの葉の構造——有効成分はどこにある?

アロエベラの葉は3層に分かれています。外側の硬い「外皮」、中間の苦い黄色い「ラテックス層」、そして内側の透明な「ゲル」です。

有効成分の大部分は、ラテックスとゲルの中にあります。外側の皮を使っても意味がありません。市販のアロエベラ製品が「ゲル」を謳っているのはそのためです。

内側のゲルには保湿成分のグルコマンナン、抗炎症作用を持つサリチル酸やステロール、ビタミンC・E・フラボノイドなどの抗酸化物質が含まれています。

アロエベラの主な働き

1.肌を整える——美容への効果

アロエベラが化粧品に広く使われているのには理由があります。

含まれる糖質成分が肌の水分を保ち、やわらかさと弾力をサポートします。工場で働く乾燥肌の女性30人を対象にした研究では、アロエベラゲルを塗った手袋を1日8時間着用したところ、平均3.5日で乾燥肌の改善が見られ、10日後には肌の強度や赤みにも顕著な変化があったそうです。

また、紫外線によるダメージを抑える抗酸化タンパク質が増えることも確認されています。日焼けのアフターケアにアロエが昔から使われてきたのも、理にかなっているわけです。

2.傷やヤケドの回復を助ける

アロエベラのゲルに含まれるグルコマンナンとジベレリン(成長ホルモンの一種)は、皮膚細胞の成長を刺激し、コラーゲン形成を促します。

30人のヤケド患者を対象とした比較研究では、アロエベラゲルが抗菌性軟膏よりも早く皮膚の再生を促進したという結果が出ています。また、日焼けの炎症や赤みを、ステロイド外用薬より効果的に抑えたという報告もあります。

子どものころに母がしてくれたことは、あながち迷信でもなかったようです。

3.腸の調子を整える

アロエベラは古くから便秘のときに使われてきた植物です。中間層のラテックスに含まれるフェノール化合物が腸を刺激し、ぜん動運動を促します。

ただし内服での使用は量と頻度に注意が必要です。後述の「注意点」も必ずお読みください。

逆流性食道炎の患者79人を対象にした試験では、胃酸逆流や胸やけの症状を和らげる効果も確認されています。

4.お口のケアに

390人を対象とした研究で、アロエベラの洗口液が市販のマウスウォッシュと同等のプラーク除去効果を発揮したという結果があります。抗菌性のある成分が、口腔内の細菌の増殖を抑えるためと考えられています。

5.免疫のサポート

アロエベラにはビタミンC・E、フラボノイド、カロテノイドなど抗酸化物質が豊富に含まれています。ジュースに含まれる糖質成分が免疫細胞(マクロファージ)を活性化するという研究もあります。

6.髪のダメージケア

紫外線による髪のダメージを和らげる効果を示す研究もあります。ヘアケア製品にアロエが配合されているのはそのためです。

使用上の注意

外用(ゲルを肌に塗る)については、特別な使用量の制限はありません。ただし、はじめて使う場合はパッチテストを。まれに皮膚への刺激や発疹が出ることがあります。

内服(ジュースやサプリ)については、いくつか注意が必要です。

長期・大量の内服は、カリウム欠乏や電解質の不均衡を招く可能性があります。心臓や腎臓に不安のある方は慎重に。妊婦の方は内服を避けてください。子宮収縮を促す可能性があります。

アロエベラはユリ科(現在はススキノキ科に分類)の植物です。ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガスなどにアレルギーがある方は注意してください。

はやま

どんなに身体によいものでも、使いすぎれば話は変わります。アロエも例外ではありません。「自然のものだから安全」という思い込みは禁物。外用は気軽に、内服は慎重に、が基本です。

入手と使い方

手っ取り早いのは、鉢植えを1株育てることです。日当たりのよい場所に置けばほぼ手がかからず、いざというときにすぐ使えます。葉をぼきんと折って、中のゲルを直接肌に塗るだけ。これが一番シンプルで新鮮な使い方です。

市販品を使う場合は、ゲル成分の含有量が高く、添加物の少ないものを選びましょう。化粧品グレードのアロエベラゲルは、日焼けのアフターケアや保湿に手軽に使えます。ジュースやサプリは、内服目的の場合は用法・用量を守って。

  • Surjushe A, et al. (2008). Aloe vera: A short review. Indian Journal of Dermatology. PMC2763764
  • Dat AD, et al. (2012). Aloe vera for treating acute and chronic wounds. Cochrane Database. PMC3611630
  • Khorasani G, et al. (2008). Aloe versus silver sulfadiazine creams for second-degree burns. PMID18253066
  • Shahzad MN, et al. (2013). Effectiveness of aloe vera gel compared with 1% silver sulphadiazine cream. PMID27516662
  • West DP, et al. (1983). Aloe vera gel in dermatological preparations. PMID2341661
  • Heggers JP, et al. (1996). Beneficial effects of aloe in wound healing. PMID2047051
  • Tanaka M, et al. (2006). Aloe vera gel improves skin integrity and appearance. PMID12548256
  • Davis RH, et al. (1989). Anti-inflammatory and wound healing activity of aloe vera. PMID2810076
  • Sujatha G, et al. (2016). Aloe vera in dentistry. PMID27703614
  • Rezazadeh A, et al. (2016). Anti-HSV activity of aloe vera. PMC4771053
  • Ferro VA, et al. (2003). Aloe vera antibacterial activity. PMC245413
  • Langmead L, et al. (2004). Aloe vera in active ulcerative colitis. PMID14987320
  • Panahi Y, et al. (2015). Aloe vera for gastroesophageal reflux disease. PMID26742306
  • Vogler BK, et al. (1999). Aloe vera: A systematic review. PMID1800188
  • Dick WR, et al. (2011). Aloe vera and diabetes. PMID22198821
  • Suksomboon N, et al. (2016). Meta-analysis of aloe vera for diabetes. PMID27152917
  • Ulbricht C, et al. (2008). Aloe vera: an evidence-based review. PMID18928148

※本記事は食・セルフケアに関する情報提供を目的としています。医療行為や特定疾患の治療・予防を目的としたものではありません。体調に不安のある方、妊娠中の方は専門家にご相談ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です