「野菜を食べなきゃとわかってるけど、毎日続きません」——食卓アドバイザーはやまに相談してみたら

野菜

朝はパンとウインナー。昼はひとりだから適当に。夜は子どもの好物を中心に、サラダを少し添えるくらい。子どもには給食があるからまだいいんです。気づいたらいちばん野菜を食べてないのは、毎日食事を作ってる自分でした——。野菜を食べなきゃいけないってわかってるんですが、なかなか続かなくて……。

今回ご相談をくださったのは、小学生のお子さんを持つ30代のCさん。家族には気を配っているのに、自分だけ野菜が足りない。続かないのは意志が弱いからでしょうか——そんな相談でした。

これ、意志の問題ではありません。自分を後回しにする習慣の問題です。

はやま

わたしも若いころ、野菜をほとんど食べない時期がありました。理由は嫌いだからでも意志が弱いからでもなかった。シンクが狭い。まな板を置く場所もない。コンロは一口の電気コンロ。当日の恋人が管理栄養士の資格を持っていたのですが、「ここでは料理できない」と嘆いていました。続かないのはきっと、他に原因があるからです。

「食べなきゃ」という義務感が、続かない原因

家族のために食事を作っている人ほど、自分の食事が後回しになりがちです。夕食の準備中につまみ食いで済ませる、昼は子どもがいないから手を抜く、朝は時間がないからパンだけ——。それ自体は仕方ない部分もある。でも積み重なると、いちばん栄養が偏っているのが「食事を作っている人」という逆転現象が起きることもある。

もともと野菜があまり得意ではないという方の場合、この傾向はますます顕著になります。

「野菜を食べなきゃ」と思えば思うほど続かない。義務感はエネルギーをじわじわと消耗させます。「今日もできなかった」という落胆が積み重なって、やがて考えること自体をやめてしまう。

めざすべきなのは、野菜を「食べなきゃ」から「食べたい」に変えることです。そのためにはふたつのアプローチがある。ひとつは環境を整えること、もうひとつは食べ方を変えること。

まずは環境の話から

「すぐ食べられる状態」にしておく

野菜が続かない最大の理由は、「食べるまでの手間」です。洗って、切って、調理して——。この工程が面倒で後回しになる。だとすれば、手間を極限まで減らすことで解決します。

週に一度、時間のあるときにまとめて洗って切っておく。タッパーに入れて冷蔵庫に並べておく。それだけで「食べるまでの距離」が劇的に縮まります。冷蔵庫を開けたらすぐ食べられる状態——これが野菜を続ける最強の環境です。

野菜を「目に見える場所」に置く

冷蔵庫の奥に入れた野菜は、存在を忘れます(そして腐る)。カットした野菜を透明な容器に入れて冷蔵庫のいちばん手前に置く。ミニトマトをそのままテーブルに出しておく。見えているものは、食べられます。

次に食べ方の話

「おかず」ではなく「つまみ」として食べる

野菜をちゃんとしたおかずにしようとするから続かない。きゅうりをそのまま味噌をつけてかじる。ミニトマトをおやつ代わりに食べる。セロリをちぎってマヨネーズをつけてつまむ——。これなら「料理」しなくていい。

わたしのおすすめは、生野菜スティックと味噌マヨです。にんじん、きゅうり、大根、セロリを切るだけ。味噌とマヨネーズを2:1で混ぜたタレをつけて食べる。これが驚くほどおいしい。しかも加熱していない生の味噌には生きた善玉菌がたくさんいます。腸にもいい。野菜の食物繊維と発酵菌を同時に摂れるから、一石二鳥です。

味噌汁の具を野菜にする

毎朝の味噌汁に野菜を入れる習慣をつけると、「気づいたら毎日野菜を食べていた」という状態になります。ほうれん草、玉ねぎ、大根、なめこ、わかめ——。何でもいいのです。味噌汁は日本の食卓が誇る「野菜を食べ続ける装置」です。

発酵食品と一緒に食べる

ぬか漬けは、野菜を食べるもっともシンプルな方法のひとつです。きゅうり、大根、にんじんを漬けておけば、それだけで野菜と乳酸菌を同時に摂れる。

ぬか床を始めるのは難しそうに思えますが、いまは少量から始められる市販のぬか床キットもあります。小さなタッパーひとつから始めてみてください。

嫌いな野菜は無理して食べない

よく「野菜は何でも食べなきゃ」と思っている方がいますが、そんなことはないです。苦手な野菜を無理して食べるストレスのほうが、食べないことより体に悪いかもしれない。

好きな野菜、食べやすい野菜を食べるだけで十分です。トマトが好きならトマトだけでいい。にんじんが食べやすいならにんじんだけでいい。一種類を毎日食べ続けることは、何種類かを時々食べることより、ずっと価値があります。

はやま

野菜が好きなのに食べられない環境にいたわたしが、今ではぬか床を育てていて、味噌汁には根菜がたっぷり入っている食卓にいる。変わったのは意志ではなく、環境と習慣。食べなきゃと思わなくなった頃、自然に食べるようになっていました。

最後に

野菜が続かないのは意志の問題ではありません。環境と食べ方を少し変えるだけで、「食べなきゃ」は「食べたい」に変わります。

今夜、きゅうりを一本だけ切って、冷蔵庫の手前のほうに置いてみてください。それだけで、明日の食卓が少し変わります。