前の記事で、こんなことを書きました。
瞑想は、ニコチンガムとタバコくらいの差がある——。
プールの中で覚えた「無心」の感覚に比べると、瞑想はずいぶん薄い。それでも10年以上続けているのは、たしかに効くから。そしてもうひとつ、理由があります。
どこでもできる、からです。
わたしの瞑想は、かなりテキトーです。
基本は自室で一日2〜4回、合計1〜2時間ほど。でも電車やバスの中でも、誰かを待っているクルマの中でも、気が向いたらやります。ベランダで煙草を吸いながら、あまりにも日差しが気持ちよくて気づいたら瞑想していて、灰が落ちてズボンに穴が開いたこともあります。一度や二度ではありません(笑)。
最初はマニュアル通りでした。ヨガマットに座って、背筋を伸ばして、指で輪っかをつくって、ゆっくりリズミカルに呼吸して、マントラを唱えて。でも今は姿勢も場所もずいぶん自由になりました。ソファに座ったまま、目をつむって、呼吸を整える、それだけで深い瞑想の状態に入れるようになりました。
習い性になっています。朝起きて顔を洗うのと同じくらい、自然にやっている。
まず、呼吸だけでいい
瞑想というと、「無になること」を目指すものだと思っている人が多いのですが、それは少し違います。
無になろうとすると、かえって雑念が増えます。「無になれていない」という雑念まで加わって、余計にうるさくなる。
目指すのは「無」ではなく、「今ここにある感覚に集中すること」です。そのための入口が、呼吸です。
やり方はシンプルです。
背筋を伸ばして、いちばんリラックスできる姿勢で座る。目をつむる。ゆっくり息を吸って、吸った以上にゆっくり吐く。吐ききったら、苦しくなるちょっと手前まで、そのまま止める。またゆっくり吸う。
それだけです。
呼吸しながら、意識を向けるのは眉間の少し奥(第三のチャクラと呼ばれる場所)。そこをぼんやり「見る」ような感じです。目で見るのではなく、意識を向ける、という感覚。うまくできなくてもかまわない。最初はそのあたりに意識があればいい。
雑念が湧いてきたら、成功です
やり始めると、かならず雑念が湧いてきます。
今日の夕飯どうしよう、あのメール返してなかった、明日の会議が憂鬱だ——。次から次へと思考が流れてくる。これは失敗ではありません。むしろ、雑念に「気づけた」ということ自体が、瞑想の核心です。
気づいたら、その思考を追いかけずに、そっと呼吸に戻す。また気づいたら、また戻す。この繰り返しが、脳を鍛えます。筋トレでいえば、重りを持ちあげる動作そのものです。
川を流れる木の葉を、岸から眺めている自分をイメージしてみてください。葉っぱが流れてきたら、追いかけない。ただ見ている。雑念もそれと同じです。
何分やればいいか
最初は3分でいいです。
3分、呼吸だけに集中する。それができたら5分、10分と伸ばす。わたしも最初はそうでした。今では1回あたり15〜30分ほど自然に続きますが、それは10年かけてそうなっただけです。
大事なのは時間より頻度です。30分を週1回より、3分を毎日のほうが、脳への効果はずっと大きい。ハーバード大学の研究でも、8週間の継続で脳の構造が物理的に変わることが確認されています。
朝起きたとき、昼休みのちょっとした隙間、夜寝る前。タイミングはどこでも構いません。ベランダで日向ぼっこしながらでも(ただし煙草は持たないほうがいい)。
続けると、何が変わるか
メンタルが安定します。
嫌なことがあった翌朝、少し楽になっている。感情に振り回される時間が減る。人の話をちゃんと聞けるようになる。自分が本当に何をしたいのかが、静かに見えてくる。
劇的な変化ではありません。でも確実に、少しずつ、変わります。
前の記事で書いたマイヨールは、海に潜る前に必ず「内なる沈黙」に入る時間をつくっていました。世界記録を塗り替えた男の、いちばん大切な習慣が、呼吸を整えることだったのです。
3分から、始めてみてください。
はやま
次の記事では、仕事のパフォーマンスを上げるための「マインドフルネス瞑想」について書きます。Googleが全社員に導入した、あの瞑想です。
※このブログの情報は、医療機関の監修を受けておらず、病気の診断、治療、予防を目的とするものではありません。記事内でご紹介している効果効能についても栄養素や成分に関するものであり、商品やサービスに関するものではないことにご注意ください。体調不良が長く続く場合は、医療機関で相談することも大切です。食卓でできること、専門家の力を借りること、その両方が、あなたの体を支えます。

