週末の30分、干物になりませんか。——半身浴のすすめ

お風呂

はじめて半身浴を試みた夜、わたしは本を持ち込んだ。

30分も湯船に浸かるなら、せめて読書でも——。そう思ったのだが、10分もしないうちに表紙も中身も汗でびしょびしょになった。本はあきらめて、ただぼんやりと壁を眺めることにした。

それが思いのほか、よかった。

きっかけは、体を壊したこと

半身浴を始めたのは、体調を崩していた時期のことです。東洋医学には「血液の質が体全体の健康を左右する」という考え方があります。血の巡りをよくして、体の内側から整えていく——。そのひとつの手段として、半身浴を取り入れてみることにしました。

最初は「お風呂に長く入るだけでしょ」と半信半疑でしたが、続けるうちに体がじんわりと変わっていく感覚があった。眠りが深くなった。体が軽くなった。肌がしっとりしてきた。何より、湯上がりの「ああ、すっきりした」という感覚が、普通のお風呂とはまったく違う。

気がつけば毎日の習慣になっていました。

半身浴のやり方

みぞおちから下だけをお湯につけて、37〜40℃のぬるめのお湯に30分ほど浸かる。それだけです。

ポイントはふたつ。

ひとつは「ぬるめ」にすること。熱いお風呂は交感神経を刺激して体を興奮状態にしますが、ぬるめのお湯はじんわりと副交感神経を優位にしてくれます。体の緊張がほぐれて、心もつられて緩んでいく。

もうひとつは「水分補給」を忘れないこと。30分も浸かっていると、汗の量は想像以上です。入浴前後にコップ一杯の水を飲む習慣をつけてください。わたしは浴室に生姜紅茶を持ち込んでいたこともありました。生姜の温め効果と合わさって、発汗がさらに進みます。

生姜紅茶の作り方はいたって簡単。熱々の紅茶に、生姜汁5~10ccかおろし生姜1~2つまみを入れて、お好みの量の甘味料を入れるだけ。

はやま

めまいや急な脱力感は脱水のサインです。そのときはすぐに上がって、水分と少量の塩分を補給してください。体調が悪い日は無理をせず。

30分で「干物」になる

正直に言うと、慣れるまでは30分が長く感じます。

本はびしょびしょになる。スマホは持ち込みたくない。音楽も何となく違う。そうなると、ただ汗をかきながら壁を見ているしかない。わたしはその時間に、リンパマッサージを始めました。ふくらはぎや太ももをゆっくりもみほぐしながら浸かっていると、30分がちょうどよく感じられるようになりました。

毎日2セットやっていた時期もあります。そうなると湯上がりに鏡で自分の顔を見ると、干物のような顔をしている(笑)。それはやりすぎですが、週に2〜3回、30分を1セット——。そのくらいから始めると、無理なく続けられます。

ひと手間加えると、さらに気持ちいい

慣れてきたら、入浴剤を試してみてください。

わたしがとくに気に入っているのは、エプソムソルトです。硫酸マグネシウムの入浴剤で、体の巡りをよくして、温まりを助けてくれます。海外では古くから家庭に常備されているものですが、最近は日本でも手に入りやすくなりました。

竹酢液(あるいは木酢液)も好きです。独特の香りがありますが、お風呂あがりの肌がつるつるになる実感があります。

塩をひとつかみ浴槽に入れる塩浴も、体がよく温まります。ただし食塩(塩化ナトリウムだけのもの)は向きません。ミネラルを含んだ自然塩の方がおすすめです。追い炊き機能のある浴槽は、さびの原因になりうるので注意してください。

週末の30分を、自分のために

半身浴の一番の効果は、体が温まって眠りが深くなることだとわたしは思っています。ぬるめのお湯にゆっくり浸かると深部体温がじわじわ上がり、お風呂から出て体温が下がるタイミングで、自然と強い眠気が来ます。慢性的に眠りが浅いという方には、とくに試してほしい。

それから、何もしない30分というのが、思った以上に貴重です。スマホも見ない、誰かと話さない、ただ汗をかきながら湯船に浸かっている時間。忙しい毎日の中でそういう時間を持つこと自体が、心を整えることにつながっていると感じています。

はやま

週末の夜、お子さんが寝たあとに30分だけ。自分のために、ただぼんやりと湯船に浸かってみてください。「気持ちいい。以上」。それで十分では。